2020/6/9
電波時計は、正確な時刻を自動で合わせてくれる便利な時計です。しかし、そんな正確な電波時計でも 時刻がずれる事が有ります。時刻ずれが発生すると、原因が判らないので困りますよね。
そこで電波時計の時刻ずれでお困りの方の為に、原因を徹底調査し、あらゆる対策を解説しました。
また、どうやっても電波時計が受信できない方の為に、「電波時計が受信できない・合わない時はこの方法で解決!」を詳しく解説しました。 ココ からご覧下さい。
それでは、時刻がずれる9つの原因からご覧下さい。
時刻がずれる9つの原因
現象 | 主な原因 |
受信しない又は受信レベルが低い*注1) | 受信場所が悪い、 電波ノイズの影響、 停波中、 電波時計ではない、 故障している |
---|---|
時刻が少しずれる(数秒~数10分程) | 受信場所が悪い、 電池の残量不足、 電波ノイズの影響、 磁気を帯びている、 針の基準位置ずれ、 故障している |
時刻が一定の時間でずれる | 針の基準位置ずれ、 時差修正機能の設定 |
時刻が全くずれる | 受信場所が悪い、 電池の残量不足、 電波ノイズの影響、 故障している |
*注1)受信しない又は受信レベルが低い場合は、強制受信して確認下さい。
電波時計の仕組みは後述の、”電波時計について” 項を参照願います。
電波時計の時刻がずれる原因は、全部で9つです。上の表は、電波時計の現象(時刻が全くずれる等)=左欄と、その主な原因=右欄 を示した一覧表です。
この表の使い方を説明します。
まず、電波時計で問題となっている現象を確認して下さい。例えば、「時刻が一定の時間でずれる 」とします。その現象の主な原因は、右欄の、「針の基準位置ずれ」と「時差修正機能の設定」の2つです。
そして、「針の基準位置ずれ」と「時差修正機能の設定」をクリックすると、原因の詳細とその対策が記載された個所へジャンプします。対策は、ご面倒ですが一つずつ行って下さい。
原因を順番にお読み頂いても、対策が判る様になっています。
それでは、電波時計の時刻がずれる9つの原因を解説致します。
受信場所が悪い
- 電波が遮られる場所:地下、ビルの中や谷間、山の裏側、金属製家具、金属壁の近く
- 電波障害が発生し易い場所:高圧線・テレビ塔・電車の架線・空港・工事現場・交通量が多い道路の近く
- 乗り物の中:自動車、電車、飛行機
- 動作温度範囲外の場所:高温の車内、冷凍室
電波時計の受信場所が悪いと、電波が正常に受信されない為、時刻ずれが発生します。受信場所が悪い所として、電波が遮られる場所、電波障害が発生し易い場所、乗り物の中が挙げられます。
また電波時計は電子機器ですので、極端な高温や低温の場所(動作温度範囲外の場所)では、正常に動作しません。受信状態は、電波時計の受信マークを確認して下さい。
この対策は、次の2つです。(クリックすると対策へジャンプします)
電池の残量不足
液晶表示が薄くなったり(デジタル式)、数秒程度時間がずれる(アナログ式)症状の場合は、電池の残量不足の疑いが有ります。ソーラー式の電波時計でも、充電不足で電池の残量が不足する事が有ります。
この対策は、”電池を交換・充電する”を参照下さい。(クリックすると対策へジャンプします)
電波ノイズの影響
- テレビ、パソコン、ファクシミリ、インバーターエアコン、空気清浄機、冷蔵庫
電波時計は、電波ノイズ(妨害波)の影響を受けると、標準電波が正しく受信されない事が有ります。電波時計を、近くにある機器(パソコン等)から遠ざけただけで正常に受信できる場合は、電波ノイズの影響が考えられます。
この対策は、”受信場所を変える”を参照下さい。(クリックすると対策へジャンプします)
磁気を帯びている
電波時計が磁気を帯びると、機構部分への影響(アナログ時計は正しい針の位置をささない等)や、電波受信にも影響を与えます。これを確認する方法は、方位磁石を近ずけて、少しでも反応すれば磁気を帯びていると考えられます。
対策は、磁気抜きをする事ですが、専用の装置や分解等が必要となる為、時計の専門店等へ修理依頼をしましょう。
この対策は、”修理する”を参照下さい。(クリックすると対策へジャンプします)
針の基準位置ずれ
針式のアナログ電波時計は、強い衝撃(落下等)が原因で、針の基準位置がずれる事が有ります。ちゃんと受信できているのに、いつも一定の時間だけ時刻がずれている場合は、針の基準位置ずれを疑ってみて下さい。
この対策は、次の2つです。(クリックすると対策へジャンプします)
時差修正機能の設定
時差修正機能付き(サマータイムやワールドタイム等)の電波時計は、その設定が間違っていると、一定の時間だけ時刻ずれが発生します。例えば、何度受信しても、必ず1時間だけ遅れるなどの症状は、この原因を疑ってみましょう。
この対策は、”時差修正を再設定する”を参照下さい。(クリックすると対策へジャンプします)
停波中
電波時計が受信する電波(標準電波)は、送信所の雷害の回避や設備保守作業等の理由で、一時的に停波(電波の発信を停止)する事が有ります。
停波時間は、数秒から数時間迄が多いですが、数日間も停波する事も有ります。2011年の東日本大震災の時は、40日間も停波しました(福島・おおたかどや山標準電波送信所)。
標準電波の現在の送信状況は、ココ で確認して下さい。停波中は、電波受信による時刻修正が出来ませんので、送信再開迄待ちましょう。
電波時計ではない
そもそも電波時計ではない時計を、電波時計と勘違いしている事も有ります。特に、ソーラー時計=電波時計と勘違いしている事がある様です。そこで、簡単な電波時計の見分け方をお教えしましょう。
電波時計を見ると、「RADIO (WAVE) CONTROLLED」、「WAVE CEPTOR」等の表示が刻印されています。また電波時計には、電波受信の状態を示す表示(マーク)が有ります。
これらの表示が一つも無い時計は、電波時計では有りません。(一部特注品を除きます)もし、本体が簡単に確認できないならば、取扱説明書を参照しましょう。
故障している
ここまで全ての原因を確認し、どれにも当てはまらない場合は、残念ながら故障の可能性が高いです。
この対策は、”修理する”を参照下さい。(クリックすると対策へジャンプします)
それでは次に、時刻ずれを直す対策について見ていきましょう。
時刻ずれを直す対策
受信場所を変える
- 電波が十分に受信できる場所:窓際、壁等。・・電波時計の受信マークで確認できます
- 電波障害の影響を受けない(受けにくい)場所:「受信場所が悪い例」や、「電波ノイズを発生する機器」を避けた場所
- 動作温度範囲外とならない場所:暖房が直接当たる場所等を避ける
電波時計に適した受信場所は、上表の3点です。電波時計は、テレビやラジオと同様に電波を受信する為、電波が十分に受信できる場所で、電波障害の影響を受けない場所で受信しましょう。
鉄筋のビルは、電波の遮断や反射の影響を受けやすい為、電波時計の受信マークを確認し、最も受信環境が良い場所を探して下さい。屋内の電波障害となる機器(パソコン等)が有れば、できるだけ遠ざけて下さい。
また電波時計が受信し易い方向は、通常、取扱説明書に記載されていますので、ご確認願います。
電波時計の受信時間(の設定)については、電波がよく届く夜間がお勧めです。詳しくは、”電波時計について” をご参照願います。
引き出しで保管しているソーラー電波腕時計は、時々窓際に置くと受信と充電が一緒にできるわね。
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車載用の電波時計です。電源はカープラグに付けるので、時計機能に加えバッテリーの電圧モニタ機能も備えています。
電池を交換・充電する
電池式は、新しい電池に全て交換して下さい。電池とソーラーが併用された時計は、ご面倒ですが、電池の交換と光にあてる事(後述)の両方を行って下さい。
ソーラー式は、日光や屋内照明(LEDライト等)にあてて、二次電池(充電池)を充電して下さい。但し直射日光は、機種によって高温破損する恐れがある為、ご注意下さい。
光をあてる時間の目安ですが、ひと月毎に、日光なら5~8時間程度、屋内照明なら15~24時間程度です。
注意点ですが、古い電波時計(7年~10年以上)は、二次電池の劣化で蓄電効率が低下して、いくら光を当てても充電が不十分となる事があります。しっかり充電したのに、数時間で止まったり、正常に動作しなくなった場合は、この二次電池の劣化を疑って下さい。
この場合は、二次電池の交換を行いましょう。
二次電池の交換は、ご自分で交換可能なタイプと、修理依頼が必要なタイプが有ります。取扱説明書で確認しましょう。
コラム_ソーラー式電波時計は永久に使えない?
ソーラー式電波時計は、光の電力を電池に蓄えます。内部の充電電池は、およそ7~10年程で寿命となる為、永久には使えないのです。
では、この内部電池を交換して継続使用すれば良いとお考えでしょうか? 実は意外と高い交換代なので (腕時計型は、汎用品でも約1万円以上)、高価な時計以外は買い替える事が一般的です。
針の基準位置を修正する
アナログ式電波時計の針の基準位置の修正方法は、取扱説明書に従って直して下さい。その後、受信しやすい場所で強制受信を行い、時刻が合っているか確認してみましょう。
針の基準位置を修正した後でも、針の基準位置ずれが何度も発生する場合は、故障の可能性が有ります。その場合は、”修理する”を参照下さい。
時差修正を再設定する
時差修正機能付きの電波時計は、サマータイムやワールドタイム(各国の基準時間とその時間差)の時刻を表示させる事が出来ます。
例えば、購入時はサマータイムの自動修正がONとなっている事があり、手動で再設定が必要な場合が有ります。取扱説明書に従って、サマータイムやワールドタイムを正しく再設定してください。
それでも、どうしても電波時計が受信できない場合はこの方法で解決します
詳しくは、「電波時計が受信できない・合わない時はこの方法で解決!」
に掲載しましたので是非ご覧下さい。
修理する
電波時計を修理に出す場合、事前に時計店に修理代や修理日数を見積もりしましょう。修理に出す店は、修理実績が長い店や、オーバーホール(分解掃除)も行っている店、時計の修理技能士資格を持った店が良いでしょう。
また修理後の保証期間も、事前に確認した方が良いと思います。保証期間は通常、古い時計で3~6カ月、他は6カ月~1年程度です。
古い時計は、製造メーカーの部品の保有期間を過ぎると、修理が出来ない場合があります。セイコー、カシオ等の大手メーカーの部品の保有期間は、おおよそ7年から10年程度です。
電波時計(長波受信型)について
電波時計の仕組み
日本の市販の電波時計は、1993年5月発売のシチズンの電波腕時計から始まりましたが、当時10万円もした高額な時計でした。
現在は長波受信型の電波時計が大半ですが、中波も受信できる電波時計(シチズンのスリーウィブ)も有ります。
電波時計の仕組みを簡単に言うと、内蔵アンテナが電波(標準電波)を受信し、時刻情報を解析した後、時刻やカレンダーの修正を行います。
この標準電波の受信は、通常一日に数回程度、一定の時刻に自動受信しています。受信から時刻を修正する迄の時間は、数分から数十分程度かかります。受信できなかった場合は、クオーツ時計として動作します。
標準電波
電波時計は、標準電波を受信して時刻を正確に表示します。この標準電波とは、超高精度なセシウム原子時計を元に作られた時刻情報を、タイムコードに変換(デジタル化)して作られた電波の事です。
この電波の送信は、国内2か所の送信所から長波(40KHz又は60KHz)*1)で送信されています。送信所から約1000Km迄が受信エリアですが、ビルの谷間など設置場所が悪いと、うまく受信できない事が有ります。
なお、標準電波の管理は、”情報通信研究機構” (JJY)と言う国立研究開発法人が管理しています。
世界に目を向けると、電波時計が使える国は限られてます(日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、中国)。つまり、その国の標準電波に対応した電波時計でないと使えません。
*1:長波は、標準電波以外に船舶や航空機の位置情報等に利用され、波長が1~10kmと長い為、非常に遠くまで伝わる電波です。
ご参考 GPS時計(衛星電波受信時計)とは?
地上の長波を受信する電波時計に対して、衛星からの電波を受信して時刻表示する時計を、GPS時計と言います。
ここではGPS時計のメリットとデメリットについて簡単に説明致します。
<GPS時計のメリット>
・衛星電波がちゃんと届く範囲(主に屋外)で有れば、世界中どこでも使えます。
(海外出張で使うと便利)
・電波の届く範囲が長波の電波時計より広い為、屋内で使用する場合に有利になる事が有ります。
(但し時計の機種により、あまり優位性が無い事が有ります)
<GPS時計のデメリット>
・屋内では衛星電波が殆んど届かない為、屋内では時刻修正が効かない。
・消費電力が電波時計に比べて大きい為、電池電源の場合は稼働時間が短くなります。
下表におすすめのGPS時計の一覧を掲載しました。
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セイコークロック 置き時計 目覚まし時計 衛星電波 デジタル カレンダー 温度湿度表示 アラーム ライトつき SPACELINK スペースリンク GP501W |
セイコークロックの目覚まし型GPS電波時計です。受信可能距離が従来の電波時計に比べ約5倍、最短10秒で受信します。 | |
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セイコークロック 掛け時計 衛星 電波 アナログ SPACE LINK スペースリンク 薄茶 木目 模様 GP212A |
美しい木目調のGPS電波時計です。性能は上記と同様です。 | |
セイコークロック 掛け時計 オフィスタイプ 衛星 電波 アナログ 白 GP202W |
大型の文字盤が特徴のオフィス時計です。これなら遠くでも時刻が確認できますね。 |
終わりに
最後までお読み頂き、有難う御座います。この記事では、電波時計の時刻ずれを直す、様々な対策を詳しく解説しました。
また、電波が受信出来ない場所でも使いたい方の為に、インターネットから時刻情報を得る方法(時計)や、AMラジオの電波でも時刻を修正するスリーウェイブ型電波時計もご紹介しています。
皆様の電波時計が、これからも快適にお使い頂ける事を願っております。